長野県

生誕130年記念 太田南海展 心・技、光る ~松本の文化を支えた彫刻家~

1888(明治21)年、太田南海は松本市の中心部・中町に人形師の長男として生まれた。息子の才能を見込んだ父により、木彫家・米原雲海に入門したのは16歳のときだった。当時の日本には西洋美術の波が押し寄せ、日本の伝統的な技法と西洋の技法とを絡み合わせながら、近代彫刻の幕が開けようとしていた。
そんな時代、南海は師・雲海の信頼も厚く、師の晩年の作である「善光寺仁王像」などに雲海工房の主力として腕をふるった。独立し、拠点を故郷・松本に移すと、地元の人々に請われて、仏像や肖像、祭りの舞台などを制作しながら、文展・帝展などへの出品を続けた。岡倉天心に日本画の手ほどきを受けるなかで磨かれた感性は、卓越した技術を背景に、《弱法師》《雪ぞら》などの作品に発揮された。とくに、3人の女性を「過去」「現在」「未来」に見立てた大作《宿命》は、キリスト教の聖母と仏教の観音像を融合したかのような独特の優美さと静けさをたたえている。
1959(昭和34)年、70歳で没するまで地元で活動を続けた南海。地方の美術活動振興のため、作家たちの発表の場を設けたり、審美眼で古美術の目利きをするなど、一彫刻家の枠にとどまらない活動は、地元の美術家たちの信望をあつめた。
今年は、南海が生まれてから130年。本展では、彫刻家としての足跡をたどるべく、プロローグとして師・雲海作《竹取翁》を、南海作《竹取翁》とともに紹介する。木彫作品を中心に、陶彫や日本画も含め、市井に眠る多彩な南海の芸術世界を堪能してほしい。

開催概要

  • 会期

    2018.09.152018.11.25
  • 会場

  • 観覧料金

    大人1000円、大学高校生・70歳以上の松本市民600円

    ※20名以上の団体は100円引き
    ※中学生以下無料
    ※障害者手帳携帯者とその介助者1名無料

    詳細は公式サイトへ

  • 主催

    松本市美術館、SBC信越放送、信濃毎日新聞社
  • 休館日

    月曜日(祝日の場合は次の平日)

  • 開館時間

    09:00〜17:00 ※入館は閉館の30分前まで
  • お問い合わせ

  • カレンダーへ登録

直前の記事

no image

泉鏡花生誕145年記念 清方描く、鏡花の世界

明治20年代末、10代の鏑木清方は泉鏡花の文学に魅了され、鏡花の小説へ挿絵を描くことを目標に研鑽を積んでいた。 そんな清方と鏡花との交流は、明治35年(1902)、単行本『三枚續』の表紙装丁や口絵などを手がけたことに始ま

続きを読む

最新一覧

美術展一覧へ戻る