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宋磁 ―神秘のやきもの

悠久の歴史を有する中国陶磁の中で、宋時代(960 – 1279)にはその美しさが頂点に達したとも評される。宋時代の陶磁器である「宋磁」は、官窯(かんよう)、景徳鎮窯(けいとくちんよう)、定窯(ていよう)などに見られるように青磁・白磁・黒釉磁(こくゆうじ)などの単色の釉薬(ゆうやく)をまとい、非常にシンプルかつ研ぎ澄まされた造形性が美しく、格調高き陶磁器。北宋時代末期から南宋時代にかけては絵画の世界で文芸復興運動がおこった。この頃宋磁においても、中国古代の王朝が祭祀で用いた青銅器に倣った陶磁器がつくられており、古典へのまなざしを「やきもの」という立体造形で象っている。そこには皇帝や士大夫といった文人達の高貴かつ清逸な美意識が表わされている。その一方で磁州窯(じしゅうよう)、吉州窯(きっしゅうよう)などの搔き落としや鉄絵、さらには五彩(宋赤絵)などの色彩に変化を凝らした絵付陶磁も生み出され、それらには一般庶民の生活に根ざした活気に溢れる、ユーモラスなデザインも展開された。
明時代の『格古要論』や清時代の『年窯墨注歌』などの文献にも宋磁の素晴らしさは語りつがれ、宋時代から長い年月を経た後世の人々もまた、宋磁に畏敬の念を抱き続けていた。さらに日本でも古くから唐物として知られる作品があり、近代以降には「鑑賞陶器」としても宋磁が愛でられてきた。このように宋磁は同時代の人々にとっても、後世の人々にとっても魅力的で、神秘的なものであったといえる。本展覧会では、優雅な美、また親しみ溢れる多様な「宋磁」の世界を、宋時代前後のやきものの様相とあわせて紹介する。

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